幾何編2
直角三角形の3つの辺の長さは、 という1本の式でいつも結ばれている。これが「三平方の定理」で、図形の長さを計算で求められるようにする、中学幾何のいちばん強力な道具だよ。
三平方の定理は、直角三角形の斜辺(いちばん長い辺)を 、残りの2辺を ・ とすると、 がいつも成り立つ、という定理だよ。たったこれだけの式なんだけど、「辺を2つ知っていれば、残りの1辺の長さを計算で出せる」というのがすごいところ。
それまでの幾何は「角が等しい」「合同だ」と形を調べるのが中心だった。三平方はそこに「長さを数で出す」という新しい力を持ち込む。定規で測らなくても、 と から斜辺が だと分かる。ここから幾何は「測る」から「計算する」へと一段レベルが上がるんだ。
の ・・ は、じつは「辺を1辺とする正方形の面積」なんだ。直角三角形の3つの辺にそれぞれ正方形をくっつけると、短い2辺の正方形の面積を足したものが、斜辺の正方形の面積にぴったり等しくなる。式の暗記じゃなくて「面積のつり合い」として見ると、なぜ2乗が出てくるのかが腹に落ちるよ。
この「面積で見る」感覚は、単なる暗記より強い。式を忘れても図から作り直せるし、 を勝手に にしてしまうようなミスも、面積の絵を思い浮かべれば「別物だ」とすぐ気づける。「三平方=面積のつり合い」と覚えておこう。
この単元では、定理そのものに加えて「逆」(3辺が を満たすなら直角三角形)や、中線の長さを3辺で表す「中線定理」も学ぶ。どれも根っこは同じ だよ。
身近な例だと、テレビやスマホの「◯インチ」は画面の対角線の長さのこと。たてと横が分かれば、三平方で対角線が計算できる。地図上の2点の直線距離、はしごを壁に立てかけたときの高さ。「直角があって、2辺が分かれば、残りが出せる」場面は日常にもあふれているよ。
三平方はこの先ずっと出てくる。座標平面での2点間の距離、空間図形の対角線や高さ、三角比(サイン・コサイン)、円の弦の長さ。どれも三平方が土台になっている。ここをしっかり自分のものにしておくと、高校数学がぐっと楽になるよ。
いちばん多いつまずきは「どの辺が (斜辺)か」を取りちがえること。斜辺は必ず直角の「向かい」にある、いちばん長い辺だよ。式は で、 だけが仲間はずれ(斜辺)。 と は直角をはさむ2辺で、どちらをどっちにしても答えは同じ。まず図の中で直角のマークを探して、その向かいの辺に の札をつける。これを最初にやるクセをつけよう。
で を求めるとき、 が出たところで止まってしまう子が多い。 なら、 自身は 。2乗した値と、辺の長さ本体は別物だよ。逆に とほかの1辺から短い辺を求めるときは、 と「引き算してから」ルートに戻す。 を とやってしまうのもよくある間違い。ルートの中では足し算をバラせないから、必ず先に中身を計算しよう。
定理そのものは「直角三角形だから 」、逆は「 だから直角三角形」。向きが反対だよ。 や のように整数できれいにそろう組(ピタゴラス数)を1つ覚えておくと、「この三角形は直角かな?」の確認がすぐできる。長さが与えられた三角形で直角を示したいときは、いちばん長い辺を の位置において と を比べる、と覚えておこう。