発展(数学A)
円の単元で身につけた「同じ弧 → 同じ角」を土台に、接線や2本の直線がからむ角・長さの関係まで踏み込むのがこの発展編。円に内接する四角形・接弦定理・方べきの定理という、円の「奥の手」を手に入れよう。
この単元は、前に学んだ円周角の定理を出発点に、3つの方向へ性質を広げていく。1つめは「円に内接する四角形」。円に4つの頂点がのった四角形は、向かい合う角の和がいつも になる。2つめは「接弦定理」。円に接する直線(接線)と弦がつくる角が、その弦を反対側から見込む円周角に等しくなる。3つめは「方べきの定理」。1点を通る2本の直線が円と交わるとき、切り取られる線分の積がいつも等しくなる。
バラバラの定理に見えるけれど、どれも「弧と角」「相似」という円のことばで結ばれた仲間だよ。円周角の定理という1本の幹から、枝が3方向にのびていくイメージを持っておこう。
内接四角形の「向かい合う角の和が 」は、円周角の定理からまっすぐ導ける。向かい合う2つの角は、円をちょうど2つに分ける弧をそれぞれ見込んでいて、その中心角を合わせると一周ぶんになるからだ。接弦定理も、接線を「弦がどんどん短くなった極限」と見ると、円周角の定理の延長として自然に理解できる。
方べきの定理は、前に学んだ相似が主役。交点を通る2本の直線が作る三角形どうしが相似になり、対応する辺の比を組みかえると「積が等しい」という形になる。接線がからむ場合は三平方の定理もあわせて効いてくる。「新しい丸暗記」ではなく、円周角・相似・三平方の合わせ技だと分かると怖くないよ。
方べきの定理は、円と直線が交わる場面で長さを求める万能ツールになる。座標平面で円と直線を扱うときや、三平方と組み合わせて接線の長さを出すときに、補助線なしで一発の関係式が立てられる。
接弦定理と内接四角形は、円がからむ角度の証明で切り札になる。「4点が同じ円の上にある(共円)」ことを示せば、内接四角形の性質や円周角の定理をまるごと持ち込める。円を軸に、角と長さの問題を自在に行き来できるようになるのがこの単元のゴールだよ。
内接四角形で になるのは、向かい合う(対角)の2つの角の和。となり合う角どうしを足しても にはならないので、そこを取りちがえないこと。図で対角線を意識して、「ひとつ飛ばしの2つの角」がペアだと確かめてから式を立てよう。1つの外角が、それととなり合わない内角(対角)に等しくなる、という言い換えもよく使うよ。
接弦定理では、接線と弦がつくる角が等しくなる相手は、その弦を「反対側の弧」から見込む円周角。接点のまわりには角が2つできるので、どちらの角がどちらの弧に対応するのかを取りちがえやすい。狭い角には狭いほうの弧、と弦をはさんで反対側を指でたどって確かめよう。接点で接線に触れているところを意識すると、対応が見えてくる。
方べきの定理は、2直線が円の内部で交わる型・外部で交わる型・片方が接線になる型の3パターンがある。図の見た目が違うので別々の定理に見えるけれど、どれも「1点から引いた2本について、切り取る長さの積が等しい」という一つの主張。接線の型だけは片方が「接点までの長さの2乗」になる(接線と弦が重なるから)ので、そこだけ形が変わることに注意しよう。どの型かを見分けたら、あとは積を等号で結ぶだけだよ。図をパッと見て「点は円の内か外か、直線は接しているか」の3択をまず判定する癖をつけると、型の取りちがえが減る。円周角の定理を土台にした発展編だから、迷ったらいつでも「弧と角」「相似の三角形」の基本に立ち返れば道具は全部つながっているよ。