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数学C

ベクトルのガイド

ベクトルは「向きと大きさをセットにした矢印」。位置や動きを、座標の数字だけでなく矢印そのものとして計算できるようにする道具だよ。和・実数倍・内積という3つの演算を覚えると、図形の問題が「式で解ける」ようになる、とても強力な単元なんだ。

この単元の全体像

矢印を足す・伸ばす

ベクトルの出発点は、矢印どうしの足し算と実数倍。2つの矢印をつなげて結んだものが和で、矢印を何倍かに伸び縮みさせるのが実数倍。この2つを組み合わせるだけで、平面上のどんな点でも「基準になる2本の矢印の何倍ずつか」で言い表せるようになる。座標で (3,2)(3, 2) と書くのと、矢印を足し合わせて表すのは、同じことを別の言葉で言っているんだ。

大事なのは、ベクトルは「場所」ではなく「向きと大きさ」だけを持つということ。同じ長さで同じ向きなら、平面のどこに描いても同じベクトル。だから自由に平行移動して、始点をそろえて考えられる。この身軽さがベクトルの強みだよ。

位置ベクトルで点を表す

基準点(原点)を1つ決めて、そこから各点への矢印を考えると、点そのものをベクトルで指し示せる。これが位置ベクトル。すると、線分を m:nm:n に分ける内分点のような「点の位置」が、そのままきれいな式で書ける。図形の中の点を、いちいち座標を置かなくても矢印の計算で追いかけられるようになる。

前に学んだ図形と方程式では点を座標で扱ったけど、ベクトルはそれを一段まとめて、向きごと計算する見方。三角形の重心や、直線上の点を表す式が、驚くほど短く書けるようになるよ。

内積で向きの違いを数にする

ベクトルのいちばんの山場が内積。2つの矢印 a\vec{a}b\vec{b} に対して ab=abcosθ\vec{a}\cdot\vec{b}=|\vec{a}||\vec{b}|\cos\theta で定まる「数」で、2本がどれくらい同じ向きを向いているかを測る。前に学んだ余弦定理が、じつはこの内積とぴったり結びついている。

内積のすごいところは、成分で計算できること。a=(a1,a2)\vec{a}=(a_1, a_2)b=(b1,b2)\vec{b}=(b_1, b_2) なら ab=a1b1+a2b2\vec{a}\cdot\vec{b}=a_1b_1+a_2b_2。角度を測らなくても、成分の掛け算と足し算だけで内積が出る。とくに「垂直     \iff 内積が 00」という関係は、直角を式で扱う最強の道具になる。この先の空間ベクトルや複素数平面へも、まっすぐつながっていくよ。

つまずきポイント

内積は「ベクトル」ではなく「数」

いちばん多い勘ちがいが、内積の答えを矢印だと思ってしまうこと。内積 ab\vec{a}\cdot\vec{b} は向きを持たないただの数(スカラー)だよ。だから内積どうしをさらにベクトルのように扱うことはできないし、(ab)c(\vec{a}\cdot\vec{b})\vec{c} のように後ろにベクトルが続けば、それは「数 × ベクトル」つまり実数倍になる。「和・実数倍の答えはベクトル、内積の答えは数」と、演算ごとに出てくるものの種類を区別しておこう。

始点をそろえてから考える

ベクトルは平行移動して同じもの、という自由さが、逆に混乱のもとになることもある。とくに2つのベクトルのなす角や内積を考えるときは、必ず始点を同じ点にそろえてから角度を見よう。始点がばらばらのまま「見た目の角」を測ると、本当のなす角とずれてしまう。AB\vec{AB}AC\vec{AC} のように始点をそろえた形に直す、あるいは AB=OBOA\vec{AB}=\vec{OB}-\vec{OA} のように位置ベクトルの差で書き直すのが基本だよ。

成分計算と図形の意味を行き来する

ベクトルには「矢印の図で考える」やり方と「成分の数で計算する」やり方の2つの顔がある。図だけで押し切ろうとすると計算が複雑な問題で行きづまり、成分だけに頼ると答えの図形的な意味を見失う。内分点や平行・垂直の条件は、まず図で「何を求めたいか」をつかんでから成分で計算し、出た答えをもう一度図にもどして確かめる、という往復が大事。とくに「2本が平行     \iff 一方が他方の実数倍」「垂直     \iff 内積 00」は、図の言葉と式の言葉をつなぐ大事な橋なので、両方の向きから言えるようにしておこう。この2つを自在に使えると、この先の図形の証明問題がぐっと楽になるよ。

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