数学I
三角比を使って、直角三角形にかぎらないどんな三角形でも、辺と角を自在に計算できるようにする単元。正弦定理と余弦定理という2つの強力な公式で、「分かっている辺や角から、残りを求める」ことができるようになる。三角比がぐっと実戦的になる場面だよ。
前に学んだ三角比は、直角三角形が土台だった。でも世の中の三角形は直角ばかりじゃない。この単元では、直角のない一般の三角形でも、辺の長さと角の大きさを結びつける2つの定理を手に入れる。それが正弦定理と余弦定理だよ。
どちらも、三角形について「3つの辺と3つの角、合わせて6つのうちいくつかが分かっているとき、残りを求める」ための道具。どの情報が分かっているかによって、正弦定理と余弦定理を使い分けるのがこの単元の腕の見せどころになる。
正弦定理は、辺の長さと、その辺の「向かいにある角」の の比が、三角形の中でいつも一定になる、という関係。しかもその比は、外接円の直径 に等しい。つまり のように、三角形の辺・角と外接円がひとつの式で結ばれる。
前に学んだ円(円周角の定理)と五心(外心・外接円)が、ここで効いてくる。「辺とその向かいの角」がペアになっている、という点をつかむと、正弦定理は使いやすくなるよ。
余弦定理 は、じつは三平方の定理を直角以外の角にも広げたもの。角 がちょうど のとき になって、 という見慣れた三平方にもどる。つまり余弦定理は三平方の「親分」で、 の項が「直角からのずれ」を補正しているんだ。
2辺とそのあいだの角が分かれば残りの辺が、3辺が分かればどの角も、余弦定理から求まる。この単元で身につけた正弦・余弦の使い分けは、この先のベクトルの内積へも直結していく。余弦定理と内積は、じつは同じ関係を別の言葉で言っているんだ。
つまずきの多くは、正弦定理と余弦定理のどちらを使えばいいか見分けられないこと。ざっくり言うと、「辺とその向かいの角」がペアでそろっているときは正弦定理、「2辺とそのあいだの角」や「3辺」が分かっているときは余弦定理。問題を読んだら、まず分かっている辺と角に印をつけ、辺と向かいの角がペアになっているかを確かめよう。この「情報のそろい方」を見る習慣がつくと、公式選びで迷わなくなるよ。
余弦定理 で多いのが、 の項の符号ミス。マイナスを書き落としたり、角が鈍角で が負のときに符号の処理をまちがえたりしやすい。鈍角のときは 自体が負なので、 全体はプラスになり、向かいの辺 は長くなる。「鈍角の向かいの辺はいちばん長い」という図形の感覚と、計算結果が合っているかを見比べると、符号ミスに気づけるよ。
正弦定理を使って の値から角 を求めるとき、注意がいる。〜 の範囲では、 が同じ値になる角が2つある(たとえば と は同じ)。だから から角を出すと、鋭角の と鈍角の の両方が候補になる。どちらが正しいかは、三角形の他の条件から絞り込む必要がある。たとえば「他の角との和が をこえないか」「その辺は最大辺か」などをチェックして、成り立たないほうを外そう。 の値だけで角を1つに決めつけず、範囲の中に候補が2つないかを毎回うたがう、この慎重さがこの単元では大事だよ。余弦定理で角を求める場合は の符号で鋭角・鈍角が一意に決まるので、この2解問題は起きない、という違いも覚えておくと便利だよ。