幾何編1
2つの図形が「ぴったり重ね合わせられる」とき、その2つは合同。三角形なら、辺や角のうちたった3つの条件がそろえば、残りの辺も角も全部等しいと言い切れる。この合同条件が、これから始まる「証明」のいちばんの武器になるよ。
2つの図形が合同とは、平行移動・回転・裏返しをうまく組み合わせて、一方をもう一方にぴったり重ねられること。前の単元「図形の移動」で体感した「動かしても形と大きさは変わらない」が、そのまま合同の定義につながっている。合同な図形では、対応する辺の長さも、対応する角の大きさも、すべて等しい。合同を表す記号は で、 のように、対応する頂点の順にそろえて書くのが約束だよ。
でも実際の問題で、辺も角も全部を1つずつ測って一致を確かめるのは大変。そこで登場するのが「合同条件」。三角形なら、ほんの3つの条件さえ確かめれば、残りは自動的に全部等しい、と保証してくれる、とても強力なルールなんだ。
三角形の合同条件は次の3つ。
このどれか1つが言えれば、2つの三角形は合同。すると対応するほかの辺や角も「ぜんぶ等しい」と、あらためて言えるようになる。
とくに②で大事なのは「その間の角」であること、③で大事なのは「その両端の角」であること。辺と角の位置関係までそろって初めて合同が保証される。ここを押さえておくと、後で条件を取りちがえずに済むよ。
この合同条件こそ、中学の図形で最初に本格的に使う「証明の道具」。二等辺三角形の底角が等しいことも、平行四辺形の対辺が等しいことも、たどっていけばほとんどが「補助線を引いて2つの三角形の合同を示す」という同じ型で導かれる。だから合同は、この先の証明ぜんぶを支える土台の単元なんだ。
合同のうれしさは、「直接ははかれない辺や角の大きさを、間接的に言えるようになる」こと。たとえば、川をはさんだ2地点の距離のように、じかにはかりにくい長さでも、合同な三角形を作れば「こちら側ではかれる辺」と等しいと言い切れる。証明は理屈っぽく見えるけれど、その正体は「確かめにくいことを、確かめられることに置きかえる」実用的な道具なんだ。この見方を持っておくと、なぜ合同をわざわざ証明するのか、その意味が腑に落ちるよ。
合同を と書くとき、頂点の並び順には意味がある。 と 、 と 、 と が対応している、という情報を順番が表しているんだ。順番をばらばらに書くと、どの辺・どの角が等しいのかが伝わらなくなる。まず「どの頂点がどの頂点に対応するか」を図で見きわめてから、その順にそろえて書こう。
「2組の辺と1つの角が等しいから合同」と早合点しやすいけれど、SAS で使えるのは「2辺の間」の角だけ。間ではない位置の角では合同は保証されない。同じく ASA も「辺の両端」の角でなければならない。等しい辺と角を見つけたら、その角が辺に対してどの位置にあるかまでチェックして、3つの合同条件のどれに当てはまるかを見極めよう。
合同を示す証明では、答案の材料に使えるのは「仮定として与えられた等しい辺・角」「共通の辺」「対頂角や平行線の錯角など、すでに学んだ確かな性質」だけ。まだ示していないことや、図から見た目で等しそうなことを根拠にしてはいけない。おすすめの進め方は、等しいと言える辺・角を図に印で書き込んでいき、3つそろったところで合同条件を宣言する、という順番。「仮定を書く → 等しい部分を集める → 合同条件で結ぶ → 対応する辺・角が等しいと結論する」。この型を合同でしっかり身につけると、この先の証明がぐっと書きやすくなるよ。