数学C
円をぺちゃんこにつぶすと楕円。焦点を2つに増やして「距離の差」を一定にすると双曲線。放物線もふくめたこれらの曲線は、じつはどれも「焦点からの距離」の約束で定義される仲間だよ。図形と方程式で身につけた「距離で図形をとらえる」見方を、もう一歩おし進める単元なんだ。
二次曲線のおもしろさは、どの曲線も「距離についての約束」から生まれること。楕円は「2つの定点(焦点)からの距離の和が一定」な点の集まり。双曲線は「2つの焦点からの距離の差が一定」な点の集まり。前に学んだ軌跡の考え方(条件を満たす点の道すじ)が、そのまま曲線の定義になっているんだ。
円が「1つの中心から等距離」だったのを思い出そう。二次曲線は、その「基準点」を2つに増やして、和や差の条件にしたもの。円・楕円・双曲線・放物線が、距離のルールを少しずつ変えただけの一族だと分かると、バラバラの公式に見えていたものがつながってくるよ。
楕円は 、双曲線は という標準形で表す。違いは真ん中の符号が か かだけ。 なら閉じた楕円、 なら2つに分かれて開いていく双曲線になる。符号1つで曲線の性格がガラッと変わるのがおもしろいところ。
この標準形から、曲線の「骨組み」が読み取れる。楕円なら横と縦の広がり、双曲線なら曲線が近づいていく漸近線の傾き。図形と方程式で「式から図形を読む」練習をしたのと同じで、二次曲線でも標準形を見ればおおよその形が頭に描けるようになるのが目標だよ。
楕円と双曲線には、それぞれ2つの焦点がある。この焦点の位置と、標準形の ・ は三平方の定理でつながっている。楕円と双曲線では焦点までの距離の決まり方が違うけれど、どちらも直角三角形の関係から出てくる、と押さえておくといい。
焦点は、光や音を1点に集める性質(反射の性質)とも結びついていて、パラボラアンテナや楕円形の部屋のささやきの回廊など、身のまわりの技術にも使われている。距離のルールから生まれた抽象的な曲線が、現実の道具として働いているのは知っておくと楽しいよ。座標で図形をとらえる力の、ひとつの到達点になる単元なんだ。
定義でいちばん取りちがえやすいのが、2焦点からの距離を「足す」のか「引く」のか。楕円は距離の「和」が一定、双曲線は距離の「差」が一定だよ。和なら2点をぐるっと囲む閉じた曲線(楕円)、差なら2点から離れて開いていく曲線(双曲線)、とイメージと結びつけて覚えよう。ひもの両端を焦点にとめてピンと張りながら描くと楕円になる、という作り方を思い浮かべると、「和が一定」が体で分かるよ。
焦点までの距離を とすると、楕円では「長いほうの半径の2乗 = 短いほうの半径の2乗 」、双曲線では と、三平方の組み方が違う。同じ記号を使うのに関係式が入れかわるので、楕円の式を双曲線に流用してしまうミスが起きやすい。どちらの曲線かをまず確認し、楕円では焦点は長いほうの軸(長軸)にのり、双曲線ではいちばん大きいのがつねに 、と押さえよう。標準形の真ん中の符号( か か)とセットで覚えると混同しにくいよ。
楕円 で、焦点が 軸の上にあるか 軸の上にあるかは、分母の と のどちらが大きいかで決まる。大きいほうの軸(長い方向)に焦点がのるんだ。 の下の分母が大きければ横長の楕円で焦点は 軸上、 の下が大きければ縦長で焦点は 軸上になる。標準形を見たとき「 の下がいつも 」と決めつけず、どちらの分母が大きいかを毎回確かめよう。双曲線の場合は、 と のうちプラスがついているほうの軸に曲線が開き、焦点もそちらの軸にのる。符号と分母の大小、この2つを落ち着いて読めば、曲線の向きも焦点の位置も正しくつかめるよ。