幾何編1
平行な2本の直線に、もう1本の線が斜めに交わると、同じ大きさの角があちこちに現れる。それが同位角と錯角。「平行なら等しい」「等しいなら平行」という行き来が、この先の三角形や合同の証明で何度も出てくる、とても働き者のルールだよ。
平行な2直線に斜めの直線(横断線)が交わると、交点は2つできて、そのまわりに合計8つの角が並ぶ。この中に「等しくなる角のペア」がいくつも隠れている。同じ位置(たとえばどちらも右上)にある角どうしが同位角で、平行線なら同位角は等しい。そして横断線をはさんで斜め向かいにある角どうしが錯角で、こちらも平行線なら等しくなる。
錯角が等しいことは、前の単元「平面図形と角」で学んだ対頂角を使うと説明できる。同位角が等しいことを認めれば、その対頂角にあたる錯角も自動的に等しい、という具合につながっているんだ。新しく丸暗記するルールが増えたわけじゃなく、前に学んだ角の性質がそのまま伸びていく。そう捉えると覚えやすいよ。
この単元のうまみは、ルールが「両方向」に使えること。平行だから角が等しい、という向きだけでなく、逆に「同位角(または錯角)が等しければ、その2直線は平行」と言える。つまり角の情報から平行を導けるし、平行から角の情報を引き出せる。この行き来が、図形の証明で足場を組むときの基本動作になる。
この道具は、すぐ次の「三角形と多角形の角」で内角の和が になる理由を説明するのに使われるし、その先の合同や平行四辺形の証明でも「平行 → 錯角が等しい → 合同」という形でくり返し登場する。ここでの同位角・錯角の見つけ方が身についていないと、後の証明で手が止まりやすい。逆に言えば、ここをしっかりやっておくほど先が楽になる、コスパのいい単元だよ。
身のまわりにも平行線はたくさんある。ノートの横線、線路のレール、横断歩道の白線。どれも平行だからこそ、そこに斜めの線が交わると同じ角がくり返し現れる。図形の中で平行の印(矢羽根のようなしるし)を見つけたら、「ここに同位角・錯角が使えるぞ」と反応できるようになるのが、この単元のゴールのひとつ。平行の印は「角が等しいことのスイッチ」だと思っておこう。
同位角・錯角が等しいのは、あくまで2直線が平行なときだけ。平行と分かっていない2直線でこのルールを使ってしまうのが、いちばん多いミス。図がなんとなく平行っぽく見えても、平行だと書かれている(または平行だと示せている)ことを必ず確認してから使おう。逆に、角が等しいことを示して「平行を導く」問題では、まだ平行を前提にできないことにも注意だよ。
8つの角の中から、どれが同位角でどれが錯角かを取りちがえやすい。コツは位置で覚えること。同位角は「2つの交点で同じ位置(向き)にある角」、錯角は「横断線をはさんで斜め向かい・内側にある角」。さらに、内側で横断線の同じ側にある2角(同旁内角)は、等しいのではなく合わせて になる。「等しいペア」と「合わせて のペア」を混同しないよう、図で指さして確認しよう。
角のペアを速く見つけるには、線が作る形に注目するとよい。錯角は横断線と2本の平行線で「Z」(または反転した Z)の形をつくり、その内側の2角が等しい。同位角は「F」の形の、同じ角の位置にあたる。ただしこれはあくまで見つけるための当たりのつけ方で、答案の理由に「Zだから」とは書けない。見つけたあとは必ず「平行線の錯角は等しい」ときちんと言葉で根拠を書こう。図形が回転していても、Z や F の形は回して探せば見つかるよ。複雑な図では、平行な2直線と横断線の3本だけを頭の中で抜き出すと、余計な線に惑わされずに Z や F の形が見えてくる。まず「平行のペア」を探し、それを横切っている線を1本見つける、という順番でたどるのがコツだよ。