数学II
方程式が「線」を表すなら、不等式は「面(領域)」を表す。 のような不等式が、平面のどのあたりを塗りつぶすのかを読み取れるようにする単元だよ。前に学んだ図形と方程式を、線から「広がり」へ一歩進める話なんだ。
という方程式は、平面上に1本の直線を描く。では等号を不等号にした は何を表すだろう。これは「直線 より上側にある点ぜんぶ」、つまり平面の「片側の領域」を表すんだ。方程式が線という1次元の図形を表すのに対して、不等式は面という2次元の広がりを表す。ここがこの単元の出発点だよ。
境界になる直線や円をまず描き、その線が平面を2つに分けたうち、不等式を満たすのはどちら側かを判定する。線を引く前半は前に学んだ図形と方程式そのもので、それを「どちら側か」の判定へつなげるのがこの単元の仕事だよ。
境界線で分けられた2つの領域のうち、どちらが不等式を満たすかを見分けるいちばん確実な方法は、代表の点を1つ選んで代入してみること。原点 のように計算しやすい点を不等式に入れて、成り立てばその点をふくむ側、成り立たなければ反対側が答えの領域になる。
について解いて の形にすれば「直線の上側」、 なら「下側」と読むこともできる。円なら が内側、 が外側。図形の内と外・上と下を、不等号の向きから読み取れるようになるのがゴールだよ。
不等式が2つ以上あって、そのすべてを同時に満たす領域を求めるのが連立不等式。これはそれぞれの不等式が表す領域の「重なった部分(共通部分)」になる。1つずつ領域を描いて、全部に共通して塗られたところが答え。
この考え方は、この先いろいろな場面で顔を出す。たとえば「ある条件をすべて満たす範囲で、何かの値を最大にする」といった問題(線形計画法)では、まず連立不等式で「動ける範囲」を領域として描くことが第一歩になる。領域を目で見てとらえる力が、そのまま応用力につながっていくよ。
・(等号つき)なら境界線じたいも領域にふくまれ、・(等号なし)なら境界線はふくまれない。図では、含むときは実線、含まないときは破線で境界を描いて区別するのがふつうだよ。ここをあいまいにすると、境界ちょうどの点が答えに入るかどうかでミスになる。不等号に等号がついているかを最初にチェックして、線の種類まで意識して描く癖をつけよう。
「上側か下側か」を判定するために について解くとき、両辺に負の数をかけたり割ったりすると不等号の向きが反対になる。たとえば の両辺を で割ると 、と向きがひっくり返る。この反転を忘れると、上下がまるごと逆の領域を塗ってしまう。負の数で処理したら不等号の向きを見直す、これは前に学んだ一次不等式と同じ約束ごとだよ。心配なら、代表点を代入する方法でもう一度確かめると安心だね。
複数の不等式をつなぐとき、「すべてを満たす(かつ)」のか「どれかを満たす(または)」のかで、答えの領域がまるで変わる。「かつ」なら領域の共通部分(重なったところだけ)、「または」なら領域の和集合(どちらか一方でも塗られていれば全部)になる。問題文が「〜かつ〜」なのか「〜または〜」なのかを読みちがえると、答えの形が根本からずれてしまう。まず日本語で条件のつながり方を確かめ、共通部分をとるのか合わせるのかをはっきりさせてから塗り始めよう。それぞれの領域をうすく描いてから、条件に応じて残す部分を決めていくと、混乱しにくいよ。境界の実線・破線と、共通部分・和集合の区別、この2つをていねいに押さえれば、領域の問題はぐっと解きやすくなる。