数学I
分散・標準偏差が『1つのデータの散らばり』を測る道具だったなら、相関は『2つのデータの関係の強さ』を測る道具。勉強時間が増えると点数も上がるのか、その結びつきの強さを 〜 の1つの数(相関係数)で言い表すんだ。
これまでは1種類のデータ(点数だけ、身長だけ)を見てきたけれど、この単元では2種類の量をペアで見る。たとえば『勉強した時間』と『テストの点』を、横じくと縦じくにとって点を打つ。この図が散布図だよ。点が右上がりに並べば『時間が増えると点も増える』関係、右下がりなら『片方が増えるともう片方は減る』関係が、形として見えてくる。
でも『なんとなく右上がり』では人によって読み方がぶれる。そこで、点がどれくらいきれいに一直線にそろっているかを1つの数にしたのが『相関係数 』なんだ。目で見た印象を、比べられる数字に翻訳するのがこの単元の目的だよ。
相関係数 は必ず から の間におさまる。点がぴたっと右上がりの直線に乗っていると 、逆に右下がりの直線に乗っていると 。点がバラバラで関係が見えないと は に近づく。だから『 や に近いほど関係が強く、 に近いほど関係が弱い』と読めるんだ。
プラスかマイナスかは『向き』を表す。 がプラスなら右上がり(片方が増えるともう片方も増える=正の相関)、マイナスなら右下がり(片方が増えるともう片方は減る=負の相関)。 の絶対値が『関係の強さ』、符号が『関係の向き』。この2つを1つの数が同時に教えてくれるのが便利なところだよ。
相関係数は、前の単元で学んだ散らばり(偏差)を組み合わせて作られている。横の量の偏差と縦の量の偏差が『同じ向きにそろって動くか』を見ているんだ。片方が平均より上のとき、もう片方も上に動く、が多ければ正の相関。逆向きが多ければ負の相関。だから分散・標準偏差の考え方がそのまま土台になっている。
散布図と相関係数がそろうと、データの分析は『複数の量のつながり』まで扱えるようになる。1つの量の中心と散らばりを見る段階から、2つの量の関係を読む段階へ、というステップアップだよ。世の中のデータは『気温と売上』『勉強時間と成績』のように2つ以上の量がからむことが多いから、相関はいちばん実用に近い統計の見方のひとつなんだ。
いちばん大事な注意がこれ。 が大きくても『片方がもう片方の原因だ』とは言えないよ。たとえばアイスの売上と水の事故が同時に増えても、アイスが事故を起こすわけではなく、どちらも『気温が高い』という別の理由で動いているだけ。相関(いっしょに動く)と因果(原因と結果)はまったく別のこと。 が言えるのは『関係の強さ』までで、『なぜそうなるか』までは教えてくれないんだ。
相関係数が測るのは『直線的な関係』の強さだけ。だから が に近くても、直線ではない関係(たとえばU字型に曲がった関係)がかくれていることがあるよ。 は『直線の関係が弱い』というだけで、『どんな関係もない』とは限らない。相関係数を見る前に、まず散布図で点の形そのものを見る、という順番を大切にしよう。数だけを見て図を見ないと、曲がった関係を見落とすんだ。
と をくらべて『 の方が関係が強い』と考えてしまうミス。関係の強さを決めるのは符号ではなく絶対値(数の大きさ)だよ。 は より に近いので、右下がりだけれど関係はずっと強い。マイナスは『弱い』ではなく『右下がりの向き』を表すだけ。強さは を外した大きさで、向きは符号で、と分けて読むと迷わないよ。