数学II
「本当にいつも成り立つの?」を確かめるのが式と証明の世界。その代表が相加平均・相乗平均の関係 だよ。文字で書くと難しそうだけど、面積の図で見れば「 と をならして作った正方形は、同じ の長方形をいつもはみ出す」という話。それをきちんと式で言い切る練習をする単元なんだ。
と 、2つの数のまん中を表す言い方は1つではない。ふつうに足して2で割った が相加平均。かけて平方根をとった が相乗平均だ。名前が似ていて混ざりやすいけれど、図にすると役割がはっきり分かれる。
アプリでは、たて ・横 の長方形(面積 )と同じ面積の正方形を並べて見せる。この正方形の一辺がちょうど相乗平均 。前に学んだ展開・因数分解の面積モデルと同じ「かけ算=面積」の見方が、ここでも土台になっているよ。
相加平均を一辺にした正方形と、相乗平均を一辺にした正方形を重ねると、大きいほう(赤)が小さいほう(緑)を必ずすっぽり包む。つまり が、どんな正の ・ でも成り立つ。 と をスライダーで動かしても、この上下関係だけは決してひっくり返らない。
そして重なりがぴったり一致する、等号 になるのは のときだけ。2つの数が等しいときに限って、長方形が正方形そのものになるからだね。「不等号か等号か」は かどうかで切り替わる、と図で押さえられる。
見た目で「そうなりそう」だけでは証明にならない。ここが式と証明の本番だよ。2つの正方形の面積の差を計算すると、ちょうど という形になる。2乗はどんな数でも 以上だから、差はマイナスにならない。だから大小関係は絶対に固定される、と言い切れる。
「2乗は負にならない」というたった1つの事実に、不等式の成立をあずけてしまう。この「証明の土台を1つの確かな事実に帰す」やり方は、この先いろいろな不等式の証明で何度も出てくる基本の型なんだ。
いちばん多いつまずきが、2つの平均の定義がごちゃ混ぜになること。相加は「足して2で割る」、相乗は「かけて平方根」。図で言えば、相加は と をならした長さ、相乗は面積 をそのまま正方形にした一辺だ。名前の「加」=たし算、「乗」=かけ算、と結びつけて覚えると取りちがえにくい。どちらがどちらか迷ったら、面積の図にもどって「一辺は足し算から来たか、かけ算から来たか」を確かめよう。
という記号を見ると「だいたい大きい」くらいに感じてしまい、いつ等号になるかを気にしないまま使ってしまいがち。でも相加相乗を使う問題では、等号がいつ成り立つか(=最小値をいつ取るか)がいちばんの山場になることが多い。等号は のときだけ、と必ずセットで覚えよう。図でも、2つの正方形が完全に重なるのは長方形が正方形になった の一瞬だけだった。答えに「このとき等号が成り立つ」と書き添えるところまでが、この不等式の使い方だよ。
図を見て「赤が緑を包んでいるから正しい」で終わらせたくなるけれど、それは「観察」であって「証明」ではない。式と証明の単元でいちばん育てたいのは、なぜ例外なく成り立つかを筋道立てて言い切る力だ。相加相乗なら「面積の差が で、2乗は 以上だから差は負にならない」と、確かな事実にたどり着いてはじめて証明になる。図はゴールの見当をつける道具、式はそれを保証する道具、と役割を分けて考えると、証明を書くときに何を示せばよいかが見えてくるよ。