定理辞典📖 定理辞典

微分・接線の傾き

微分係数と導関数

22 点を結ぶ割線の傾き(平均変化率)を、22 点を限りなく近づけた極限が、その点での接線の傾き=微分係数 f(a)f'(a)。各点の微分係数を xx の関数にしたものが導関数 f(x)f'(x) で、(xn)=nxn1(x^n)'=nx^{\,n-1}

主張

曲線 y=f(x)y=f(x) の上に 22 点をとって結ぶと、その直線(割線)の傾きは「高さの差 ÷\div 横の差」=平均変化率 f(a+h)f(a)h\dfrac{f(a+h)-f(a)}{h} になるよ。この 22 点を限りなく近づける(h0h\to0)と、割線はその点でそっと 11 点に触れる直線=接線に変わり、傾きはひとつの値に落ち着く。これが x=ax=a での微分係数 f(a)f'(a) で、「その点での変化の速さ=接線の傾き」を表すんだ。aa をいろいろ動かして微分係数を xx の関数とみたものが導関数 f(x)f'(x)。多項式なら下の累乗の微分公式(指数を前に下ろして指数を 11 減らす)が使えて、定数倍と和はそのまま分けられる(線形性)から、どんな多項式でもすぐ微分できるよ。

f(a)=limh0f(a+h)f(a)h(接線の傾き)(xn)=nxn1,{cf(x)}=cf(x),{f(x)+g(x)}=f(x)+g(x)\begin{gathered}f'(a)=\lim_{h\to0}\frac{f(a+h)-f(a)}{h}\quad(\text{接線の傾き})\\[6pt](x^n)'=nx^{\,n-1},\quad \{cf(x)\}'=cf'(x),\quad \{f(x)+g(x)\}'=f'(x)+g'(x)\end{gathered}
傾き 1
割線の 22 点を限りなく近づけると、曲線に 11 点で触れる接線になる。この接線の傾きが、その点での微分係数 f(a)f'(a) だよ。

成り立つ条件

微分係数 f(a)f'(a) が存在するのは、平均変化率の極限 limh0f(a+h)f(a)h\lim_{h\to0}\dfrac{f(a+h)-f(a)}{h} が(右から近づけても左から近づけても)同じ値に収束するとき=その点で「微分可能」なとき。前提として、極限(近づく先を読む)と、累乗の微分を導くのに二項定理 (a+h)n=knCkankhk(a+h)^n=\sum_k{}_n\mathrm{C}_k\,a^{\,n-k}h^k を使うよ。多項式・分数関数・三角関数など、なめらかにつながった関数はたいてい微分可能。

証明(なぜ成り立つ?)

平均変化率(割線の傾き)の式を立て、f(x)=xnf(x)=x^n に二項定理を当てる。hh で約分すると最低次の項 nxn1nx^{\,n-1} だけが残り、h0h\to0 で他の項が消えることを示す。

  1. 1

    まず割線の傾き(平均変化率)を式にする。x=ax=a から x=a+hx=a+h までの「高さの差 ÷\div 横の差」だね。hh00 に近づけた極限が接線の傾き=微分係数だよ。

    f(a+h)f(a)h  h0  f(a)\frac{f(a+h)-f(a)}{h}\ \xrightarrow{\ h\to0\ }\ f'(a)
  2. 2

    累乗 f(x)=xnf(x)=x^n で計算してみよう。f(x+h)f(x)=(x+h)nxnf(x+h)-f(x)=(x+h)^n-x^n を二項定理で展開すると、先頭の xnx^n どうしが打ち消し合い、残りはすべて hh11 つ以上ふくむ。

    (x+h)nxn=(n1)xn1h+(n2)xn2h2++hn(x+h)^n-x^n=\binom{n}{1}x^{\,n-1}h+\binom{n}{2}x^{\,n-2}h^2+\cdots+h^n
  3. 3

    これを hh で割ると、各項から hh11 つ取れる。最低次の項は hh を持たない nxn1nx^{\,n-1}、それ以外はまだ hh を残しているね。

    (x+h)nxnh=nxn1+(n2)xn2h++hn1\frac{(x+h)^n-x^n}{h}=nx^{\,n-1}+\binom{n}{2}x^{\,n-2}h+\cdots+h^{\,n-1}
  4. 4

    h0h\to0 にすると、hh を残した項はすべて 00 に消えて、nxn1nx^{\,n-1} だけが残る。これで累乗の微分公式が出た。定数倍と和は極限の性質でそのまま分けられるから、多項式は項ごとに微分すればいい。

    (xn)=limh0(x+h)nxnh=nxn1(x^n)'=\lim_{h\to0}\frac{(x+h)^n-x^n}{h}=nx^{\,n-1}

「微分可能 \Rightarrow 連続(つながっている)」は成り立つけれど、逆は成り立たない。y=xy=|x|x=0x=0 でつながってはいるが、左から近づけた傾き 1-1 と右から近づけた傾き +1+1 がそろわないので、x=0x=0 では微分できない(とがった点)。だから「連続だから微分できる」とは限らない。折れ・とがり・切れ目がある点は要注意だよ。

補足・つまずきポイント

つまずきの定番は微分係数と導関数の混同。f(a)f'(a) は「x=ax=a という 11 点での接線の傾き(数値)」、f(x)f'(x) は「各 xx の傾きを返す関数」。f(x)f'(x) を求めてから x=ax=a を代入すれば f(a)f'(a) になる。もうひとつ、h0h\to0 は「h=0h=0 を代入する」ことではない。h=0h=0 だと 00\tfrac{0}{0} で意味をなさないので、hh で割って約分してから近づける(割線が接線に化けるのはこの約分の後)。(xn)=nxn1(x^n)'=nx^{\,n-1} は指数を前に下ろして指数を 11 減らす、と手順で覚えると速いよ。

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