定理辞典📖 定理辞典

複素数平面

複素数の積(回転と拡大)

複素数を掛けると、偏角は足し算・絶対値は掛け算になる(zz を回して拡大する)。

主張

22 つの複素数 z1,z2z_1,z_2 を極形式で z1=r1(cosα+isinα)z_1=r_1(\cos\alpha+i\sin\alpha)z2=r2(cosβ+isinβ)z_2=r_2(\cos\beta+i\sin\beta) と書くと、積は z1z2=r1r2{cos(α+β)+isin(α+β)}z_1z_2=r_1r_2\{\cos(\alpha+\beta)+i\sin(\alpha+\beta)\}。つまり絶対値は掛け算 z1z2=z1z2|z_1z_2|=|z_1||z_2|、偏角は足し算 arg(z1z2)=argz1+argz2\arg(z_1z_2)=\arg z_1+\arg z_2 になるんだ。複素数平面では「z2z_2 を掛ける」=「z1z_1 を原点まわりに argz2\arg z_2 だけ回し、z2|z_2| 倍に拡大する」という操作だね。

z1z2=z1z2,arg(z1z2)=argz1+argz2|z_1z_2|=|z_1|\,|z_2|,\quad \arg(z_1z_2)=\arg z_1+\arg z_2
45°zw = z·c
zzc=1+ic=1+i(2, 45\sqrt2,\ 45^\circ)を掛けると、w=zcw=z\cdot c は偏角が 4545^\circ ふえて絶対値が 2\sqrt2 倍になる。

成り立つ条件

z1,z2z_1,z_2 をそれぞれ極形式で書くこと(00 でなければ必ず書ける)。偏角は 360360^\circ の差を同一視する(足した結果が 360360^\circ を超えたら一周ぶん引いてよい)。

証明(なぜ成り立つ?)

22 つを極形式で書いて積を展開し、出てきた実部・虚部を加法定理で cos(α+β)\cos(\alpha+\beta)sin(α+β)\sin(\alpha+\beta) にまとめる。

  1. 1

    極形式で z1=r1(cosα+isinα)z_1=r_1(\cos\alpha+i\sin\alpha)z2=r2(cosβ+isinβ)z_2=r_2(\cos\beta+i\sin\beta) と書く。

  2. 2

    積を展開する。i2=1i^2=-1 に注意して実部と虚部に分けると、実部に cosαcosβsinαsinβ\cos\alpha\cos\beta-\sin\alpha\sin\beta、虚部に sinαcosβ+cosαsinβ\sin\alpha\cos\beta+\cos\alpha\sin\beta が出てくる。

    z1z2=r1r2{(cosαcosβsinαsinβ)+i(sinαcosβ+cosαsinβ)}z_1z_2=r_1r_2\{(\cos\alpha\cos\beta-\sin\alpha\sin\beta)+i(\sin\alpha\cos\beta+\cos\alpha\sin\beta)\}
  3. 3

    この 22 つはちょうど加法定理。cos(α+β)\cos(\alpha+\beta)sin(α+β)\sin(\alpha+\beta) にまとまって、絶対値は r1r2r_1r_2、偏角は α+β\alpha+\beta の複素数になる。これで掛け算の「偏角は足し算・絶対値は掛け算」が確かめられた。

    z1z2=r1r2{cos(α+β)+isin(α+β)}z_1z_2=r_1r_2\{\cos(\alpha+\beta)+i\sin(\alpha+\beta)\}

割り算は逆向き。z1z2\dfrac{z_1}{z_2} は偏角を引いて絶対値を割るよ。z1z2=z1z2\left|\dfrac{z_1}{z_2}\right|=\dfrac{|z_1|}{|z_2|}argz1z2=argz1argz2\arg\dfrac{z_1}{z_2}=\arg z_1-\arg z_2。掛け算が「回して拡大」なら、割り算は「逆に回して縮小」だね。

補足・つまずきポイント

特別な例がわかりやすい。ii を掛けると(i=1, argi=90|i|=1,\ \arg i=90^\circ)長さはそのままで 9090^\circ 回転。1+i1+i を掛けると(2, 45\sqrt2,\ 45^\circ)4545^\circ 回して 2\sqrt2 倍。この「掛ける=偏角を足す」を同じ数で nn 回くり返したものがド・モアブルの定理だよ。証明は加法定理がそのまま効く。

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