定理辞典📖 定理辞典

分散・標準偏差(ばらつき)

分散の計算式(2乗の平均 − 平均の2乗)

分散は「偏差の2乗の平均」だが、V=x2xˉ2V=\overline{x^2}-\bar{x}^2(2乗の平均から平均の2乗を引く)でも出せる。

主張

データ x1,,xnx_1,\dots,x_n の分散 VV は、定義では「偏差(平均からの距離)の2乗の平均」V=1n(xixˉ)2V=\dfrac{1}{n}\sum(x_i-\bar x)^2。じつはこれは、各値を2乗してから平均した x2\overline{x^2} から、平均を2乗した xˉ2\bar x^2 を引くだけで求められるよ。偏差を1つずつ計算しなくていいので、手計算がぐっと楽になる便利な式なんだ(xˉ\bar x は平均)。

V=x2xˉ2(x2=1nxi2,  xˉ=1nxi)V=\overline{x^2}-\bar{x}^2 \quad\left(\overline{x^2}=\tfrac{1}{n}\textstyle\sum x_i^2,\ \ \bar x=\tfrac{1}{n}\textstyle\sum x_i\right)
024681012平均
各点の偏差(平均からの距離)を2乗した緑の正方形。その面積の平均が分散だよ。

成り立つ条件

x1,,xnx_1,\dots,x_n はデータの各値、xˉ\bar x はその平均。定義の「偏差2乗の平均」と完全に同じ値になる(近似ではなく等式)。x2\overline{x^2} は『2乗してから平均』、xˉ2\bar x^2 は『平均してから2乗』で、この2つは別物だという点が前提。

証明(なぜ成り立つ?)

定義の偏差2乗を展開し、和を項ごとに分ける。平均の定義 1nxi=xˉ\dfrac1n\sum x_i=\bar x を使うと、まんなかの項がきれいにまとまる。

  1. 1

    定義は V=1n(xixˉ)2V=\dfrac{1}{n}\sum(x_i-\bar x)^2。まず中身の2乗を展開する(xˉ\bar x は定数あつかい)。

    (xixˉ)2=xi22xˉxi+xˉ2(x_i-\bar x)^2 = x_i^2 - 2\bar x\,x_i + \bar x^2
  2. 2

    これを足して 1n\dfrac1n を掛ける。和は項ごとに分けられて、定数 xˉ\bar x は和の外へ出せる。

    V=1nxi2    2xˉ1nxi  +  1nxˉ2V=\frac1n\sum x_i^2 \;-\; 2\bar x\cdot\frac1n\sum x_i \;+\; \frac1n\sum \bar x^2
  3. 3

    ここで 1nxi=xˉ\dfrac1n\sum x_i=\bar x(平均の定義)、1nxi2=x2\dfrac1n\sum x_i^2=\overline{x^2}。最後の項は xˉ2\bar x^2nn 個たして nn で割るので xˉ2\bar x^2。代入すると、

    V=x22xˉxˉ+xˉ2=x22xˉ2+xˉ2V=\overline{x^2}-2\bar x\cdot\bar x+\bar x^2=\overline{x^2}-2\bar x^2+\bar x^2
  4. 4

    まんなかと最後をまとめて、V=x2xˉ2V=\overline{x^2}-\bar x^2。偏差を1つずつ計算しなくても、2乗の平均と平均の2乗だけで分散が出るとわかったね。

この式は V0V\ge0(分散は0以上)から x2xˉ2\overline{x^2}\ge\bar x^2、つまり「2乗の平均 \ge 平均の2乗」も教えてくれる。等号が成り立つのは V=0V=0、すなわちデータが全部同じ値でばらつきが無いときだけだよ。

補足・つまずきポイント

混同しやすいのは x2\overline{x^2}xˉ2\bar x^2。順番が逆で、ふつう x2xˉ2\overline{x^2}\ge\bar x^2 なのでこの差が分散になる。定義式(偏差2乗の平均)は意味がわかりやすく、計算式(x2xˉ2\overline{x^2}-\bar x^2)は手早い。意味は定義で理解し、計算は計算式で、と使い分けよう。標準偏差はこの VV の平方根 V\sqrt V だよ。

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