定理辞典📖 定理辞典

数列・Σ・漸化式・帰納法

数学的帰納法

n=1n=1 で成り立つ」と「n=kn=k で成り立つなら n=k+1n=k+1 でも成り立つ」の 22 つを示せば、すべての自然数 nn で成り立つ、といえる証明法。

主張

自然数 nn についての主張 P(n)P(n) を、すべての nn で一気に確かめるのは大変だよね。そこで 22 段がまえで示すのが数学的帰納法だ。(i)(\text{i}) 出発点として P(1)P(1) が成り立つこと、(ii)(\text{ii}) どこか 11P(k)P(k) が成り立つと仮定すると、その次の P(k+1)P(k+1) も必ず成り立つこと。この 22 つがそろえば、P(1)P(1) から P(2)P(2)P(2)P(2) から P(3)P(3) … と連鎖して、どんな大きな nn にもたどり着ける。ドミノで言えば、(i)(\text{i}) 最初の 11 個が倒れ、(ii)(\text{ii}) どれかが倒れたら次も倒れる、なら全部倒れる、と同じことだよ。無限にある主張を、たった 22 つのことを示すだけで全部証明できる。これがこの方法のいちばんの値打ちだね。

(i) P(1) が成り立つ(ii) P(k)P(k+1) すべての自然数 n で P(n) が成り立つ\begin{gathered}(\text{i})\ P(1)\ \text{が成り立つ}\qquad(\text{ii})\ P(k)\Rightarrow P(k+1)\\[2pt]\Longrightarrow\ \text{すべての自然数 } n\ \text{で } P(n)\ \text{が成り立つ}\end{gathered}
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最初の 11 個が倒れ、倒れたら次も倒れる。22 つがそろうと連鎖で全部倒れる。これが「すべての nn で成り立つ」のイメージだよ。

成り立つ条件

(i)(\text{i}) 出発点(基底)P(1)P(1) が成り立つこと。(ii)(\text{ii})P(k)P(k) が成り立つ」を仮定したうえで P(k+1)P(k+1) を導けること。この仮定 P(k)P(k) を帰納法の仮定とよび、(ii)(\text{ii}) の証明では必ずこれを使うのがコツだよ。出発点は n=1n=1 とは限らず、n=an=a から始めれば「nan\ge a のすべてで成り立つ」が示せる。

なぜそう決まる?

なぜ 22 つを示すだけで「すべての nn」に届くのかを、ドミノの連鎖でたどる。どんな nn も、出発点 11 から 11 段ずつ必ず到達できることを確かめる。

  1. 1

    ねらう nn11 つ決める(たとえば n=100n=100)。(i)(\text{i}) より P(1)P(1) は成り立つ。これが連鎖の最初のドミノだよ。

  2. 2

    (ii)(\text{ii}) は「成り立つ 11 つの次も成り立つ」という橋渡し。P(1)P(1) が成り立つから P(2)P(2) が成り立ち、P(2)P(2) から P(3)P(3)、… と 11 段ずつ確実に進める。

    P(1)P(2)P(3)P(n)P(1)\Rightarrow P(2)\Rightarrow P(3)\Rightarrow\cdots\Rightarrow P(n)
  3. 3

    この橋を n1n-1 回わたれば、決めておいた P(n)P(n) にちょうど着く。nn はどんな自然数でもよかったから、結局すべての nnP(n)P(n) が成り立つ、というわけだね。

  4. 4

    ポイントは、無限個の主張を 11 つずつ確かめたのではなく、(i)(\text{i}) 出発点と (ii)(\text{ii}) 次へ伝わる仕組みの 22 つだけで「どこにでも到達できること」を保証した、ということ。これが数学的帰納法の心臓部だよ。

補足・つまずきポイント

いちばんのつまずきは (i)(\text{i}) の出発点を忘れること。(ii)(\text{ii}) の「次へ伝わる」だけ示しても、最初の 11 個が倒れなければドミノは一つも倒れない。連鎖には必ず出発点がいる。逆に (i)(\text{i}) だけで (ii)(\text{ii}) がなければ、P(1)P(1) が言えるだけで先へ進めない。両方そろって初めて全部に届くんだ。もう 11 つの注意は、(ii)(\text{ii}) で帰納法の仮定 P(k)P(k) をちゃんと使うこと(使わずに証明できたなら、それは帰納法を使う必要がなかった主張)。なお (ii)(\text{ii}) で「11 から kk まで全部成り立つ」と仮定してよい強い帰納法もあり、漸化式や場合分けの証明で役に立つよ。

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