定理辞典📖 定理辞典

確率の意味・相対度数

大数の法則

同じ試行をくり返すと、相対度数(起きた割合)は試行回数を増やすほど理論上の確率に近づく。「確率=長い目で見た相対度数」を支える法則。

主張

ある事象の起こる確率が pp のとき、その試行を独立に何回もくり返すと、事象が起きた相対度数(=起きた回数÷試行回数)は、回数を増やすほど確率 pp に近づくよ。回数が少ないうちは割合が大きく揺れる(コインなら 110.250.25 まで跳ねる)けれど、回数を増やすほど 0.50.5 のような理論確率のまわりの揺れ幅がだんだん小さくなる。これが大数の法則。私たちが「確率」と呼んでいるものが「長い目で見たときに割合が落ち着く先」であることを保証してくれる、確率の意味そのものを支える法則なんだ。

rn n p(r=起きた回数, n=試行回数)\dfrac{r}{n}\ \xrightarrow[\,n\to\infty\,]{}\ p\qquad(r=\text{起きた回数},\ n=\text{試行回数})
0204060投げた回数割合0.500.51表 30 / 60回
投げる回数(横)を増やすほど、表が出た割合(折れ線)が 0.50.5(緑の破線=理論確率)に近づいていく。

成り立つ条件

毎回の試行が独立で、どの回も同じ確率 pp で起きること(同じコイン・同じさいころを同じ条件でくり返すなど)。「大数」とは試行回数 nn が大きいことを指す。回数が少ないと揺れが大きく、この法則の「近づく」は効いてこないよ。

なぜそう決まる?

なぜ回数を増やすと割合が確率に近づくのかを、「たまたまの偏りが打ち消し合う」しくみから捉える。

  1. 1

    11 回の試行では事象は「起きる/起きない」のどちらかで、割合は 1100 に大きく振れる。回数が少ないうちは、たまたまの偏りがそのまま割合のブレになって、0.50.5 を大きく上下にまたぐ。

  2. 2

    回数を増やすと、起きすぎた回と起きなさすぎた回が打ち消し合って、全体としての割合は pp のまわりに集まってくる。「たくさんの独立な結果をならすほど、たまたまの偏りは薄まる」というのが直感だね。

  3. 3

    ばらつき(揺れ幅)の目安は、試行回数 nn に対して 1n\dfrac{1}{\sqrt n} に比例して小さくなる(くわしくは高校で学ぶ標準偏差ではかれる)。だから nn44 倍にすると揺れ幅はおよそ半分。nn を大きくするほど揺れは 00 に近づき、割合は pp へ寄っていく。

    (揺れの目安)  1n n 0(\text{揺れの目安})\ \propto\ \dfrac{1}{\sqrt n}\ \xrightarrow[\,n\to\infty\,]{}\ 0
  4. 4

    こうして「確率 pp=長い目で見た相対度数」が正当化される。これを厳密に述べたものが大数の法則で、確率を相対度数で見積もる(統計的確率)ことの根拠になっているんだ。

だから理論的に計算しにくい確率(画びょうの表裏が出る確率など)は、たくさん試して相対度数で見積もれる。逆に、数回やって割合がかたよっても「確率の値がまちがい」とは言えない。回数を増やせば pp に近づいていくのが大数の法則だね。

補足・つまずきポイント

「しばらく表が続いたから次は裏が出やすい」と考えるのは「ギャンブラーの誤り」。大数の法則が言うのは 11 回ごとの出やすさが変わることではなく、回数を増やすと割合が pp に落ち着くこと。期待値(平均)についても同じで、たくさん試すと 11 回あたりの平均が期待値に近づく。回数を大きくしたときに割合がどう散らばるかは、正規分布(中心極限定理)でさらにくわしく分かるよ。

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