定理辞典📖 定理辞典

確率分布と期待値

期待値

確率変数 XX がとる値 xix_i とその確率 pip_i から、E(X)=xipiE(X)=\sum x_i\,p_i。とりうる値を確率で重みづけした平均で、分布の「つり合いの点(重心)」だよ。

主張

確率変数 XX がとる値が x1,x2,,xnx_1,x_2,\dots,x_n で、それぞれの確率が p1,p2,,pnp_1,p_2,\dots,p_n のとき、XX の期待値は「値 ×\times 確率」を全部たした E(X)=x1p1+x2p2++xnpnE(X)=x_1p_1+x_2p_2+\cdots+x_np_n で定める。これは「平均的に出る値」=何回もくり返したときの 11 回あたりの平均だよ。確率を「重さ」だと思うと、分布の棒がちょうどつり合う点(重心)が期待値になる。公平なサイコロなら重さが全部同じだから真ん中の 3.53.5 でつり合い、1+2++66=3.5\dfrac{1+2+\cdots+6}{6}=3.5 と一致する。11 回ごとの結果はばらつくのに、ならすと近づく値が前もって計算できる。これが期待値の値打ちだね。

E(X)=ixipi=x1p1+x2p2++xnpnE(X)=\sum_{i} x_i\,p_i = x_1p_1+x_2p_2+\cdots+x_np_n
0.170.170.170.170.170.171234563.50
確率の棒を「重さ」と見ると、つり合う点(赤い▲)が期待値。公平なサイコロは重さが同じだから真ん中でつり合うよ。

成り立つ条件

XX のとりうる値と、その確率がすべて分かっていること。確率は合計 11(pi=1\sum p_i=1)でなければならない。「値 ×\times 確率」の値は得点・金額・回数など、数で測れる量にする(色や順位など数でないものはそのままでは期待値を計算できない)。連続的に変わる量(身長など)では和を積分にした E(X)=xf(x)dxE(X)=\int x\,f(x)\,dx になるよ。

なぜそう決まる?

「値 ×\times 確率の合計」がなぜ平均を表すのか、22 つの見方(長い目で見た平均・つり合いの点)で確かめる。

  1. 1

    NN 回くり返すと、値 xix_i が出る回数はおよそ NpiN p_i 回。だから合計得点はおよそ xi(Npi)\sum x_i\,(Np_i) で、11 回あたりの平均はそれを NN でわった xipi\sum x_i\,p_i になる。これが「平均的に出る値」だよ。

    1Nixi(Npi)=ixipi\frac{1}{N}\sum_i x_i\,(N p_i)=\sum_i x_i\,p_i
  2. 2

    もう 11 つの見方。確率 pip_i を位置 xix_i に置いた「重り」と思うと、全体がつり合う点(重心)は重さで重みづけした平均 xipipi\dfrac{\sum x_i p_i}{\sum p_i}。確率の合計は pi=1\sum p_i=1 だから、これはちょうど xipi=E(X)\sum x_i p_i=E(X) になる。

  3. 3

    だから期待値は「分布の重心」。出やすい(重い)値の側に重心が引っぱられる。イカサマで 66 が出やすくなると、つり合う点が右へ動いて期待値が 3.53.5 より大きくなるのは、この重みづけのためだね。

補足・つまずきポイント

つまずきやすいのは、期待値が「実際にとる値」とは限らないこと。サイコロの 3.53.5 のように、出ない値が答えになることもある(平均だから)。便利なのが線形性 E(aX+b)=aE(X)+bE(aX+b)=aE(X)+b と和の期待値 E(X+Y)=E(X)+E(Y)E(X+Y)=E(X)+E(Y)。複雑な量も、部分に分けて期待値を足せばよい。くじやゲームが「得か損か」は、期待値と参加費をくらべて判断する(期待値=参加費なら公平なゲーム)。最頻値(いちばん出やすい値)や中央値とは別ものなので、混同しないようにね。

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