定理辞典📖 定理辞典

式と証明・相加相乗平均

相加平均と相乗平均の関係(相加相乗平均)

正の数 a,ba,b では a+b2ab\dfrac{a+b}{2}\ge\sqrt{ab}。等号は a=ba=b のときだけ。

主張

aabb がともに正の数のとき、相加平均 a+b2\dfrac{a+b}{2} は相乗平均 ab\sqrt{ab} 以上になる、という不等式だよ。たとえば a=9, b=1a=9,\ b=1 なら、相加平均は 9+12=5\dfrac{9+1}{2}=5、相乗平均は 91=3\sqrt{9\cdot1}=3 で、たしかに 535\ge3。等号が成り立つのは a=ba=b のときだけ(a=b=4a=b=4 ならどちらも 4)。「2つの正の数をならした平均は、かけ算でならした平均より小さくならない」と読める、最小値さがしの定番だよ。

a+b2ab(a>0, b>0)\dfrac{a+b}{2} \ge \sqrt{ab} \quad (a>0,\ b>0)
√ab
赤い正方形(相加平均 a+b2\dfrac{a+b}{2})は、いつも緑の正方形(相乗平均 ab\sqrt{ab})より大きい。はみ出した分が差だよ。

成り立つ条件

a>0a>0 かつ b>0b>0 が前提。負の数だと ab\sqrt{ab} が考えにくくなり、この形のままでは成り立たない(例: a=1,b=1a=-1,b=-1 では左辺 1-1、右辺 1=1\sqrt{1}=1 で逆)。相乗平均は2つ以上の正の数でも作れるが、ここでは2数版。等号は a=ba=b のときに限る。

証明(なぜ成り立つ?)

左辺マイナス右辺を計算して、(ab)2(\sqrt a-\sqrt b)^2 という「2乗のかたまり」に変形する。2乗は0以上だから差も0以上、とわかる。

  1. 1

    a+b2ab\dfrac{a+b}{2}-\sqrt{ab} が 0 以上だと言えれば、a+b2ab\dfrac{a+b}{2}\ge\sqrt{ab} が示せるね。この差を整理してみよう。

  2. 2

    通分して分子を見ると a2ab+ba-2\sqrt{ab}+ba=(a)2a=(\sqrt a)^2b=(b)2b=(\sqrt b)^22ab=2ab2\sqrt{ab}=2\sqrt a\sqrt b だから、これは a\sqrt ab\sqrt b の差の2乗にぴったり当てはまる形だよ。

    a+b2ab=a2ab+b2=(ab)22\frac{a+b}{2}-\sqrt{ab}=\frac{a-2\sqrt{ab}+b}{2}=\frac{(\sqrt a-\sqrt b)^2}{2}
  3. 3

    a,ba,b が正なら a,b\sqrt a,\sqrt b は実数。2乗はぜったいにマイナスにならないから、この差は 0 以上。だから a+b2ab\dfrac{a+b}{2}\ge\sqrt{ab} がいつでも成り立つ。

  4. 4

    等号になるのは (ab)2=0(\sqrt a-\sqrt b)^2=0、つまり a=b\sqrt a=\sqrt b のとき。両辺とも正だから、これは a=ba=b と同じこと。だから等号は a=ba=b のときだけだね。

不等式そのものに「逆」はないけれど、使うときは逆向きに効く。和 a+ba+b が一定なら積 ababa=ba=b のとき最大、積 abab が一定なら和 a+ba+ba=ba=b のとき最小になる。だから「等号がいつ成り立つか」をたよりに最大・最小を求めるのが、この定理のいちばんの値打ちだよ。

補足・つまずきポイント

つまずきやすいのは2つ。① a>0, b>0a>0,\ b>0 の確認を忘れないこと(負だと使えない)。② 最小値問題で答えにするときは、等号 a=ba=b が実際に起こせるか必ず確かめること。「\ge で下から押さえた値」は、等号が取れて初めて最小値になる。a+b2\dfrac{a+b}{2}(たして2でわる)と ab\sqrt{ab}(かけてルート)を取りちがえないようにも気をつけよう。

見て確かめる

言葉で読んだら、動くアニメと自分の手で確かめてみよう。

使いどころ

この定理が、実際の問題でどう効くのかを見てみよう。